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‘歴史物’ Category

安政七年 午吉道中記

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【在庫3冊のみ:お一人様一冊限り】

安政七年 午吉道中記
~出羽の若き農民午吉(うまきち)の伊勢・西国旅行記~

体裁:A5判 / 357貢
鈴木聡子著
定価2,900円(送料・梱包料込)
(本体2,300円、消費税230円 +送料370円)

江戸時代 安政七年に、山形県鶴岡市から伊勢~奈良~金毘羅~京都~秋葉山~横浜~江戸~日光を巡った、農民の青年の道中記の紹介です。
道中の日付、天気、距離、名所旧跡の紹介を綴った道中記を分かりやすく現代文で紹介し、また、翻刻文と解説をあわせて掲載。

江戸の田舎の青年がどうしてここまで、知り得たか、また書き表せたか、江戸期東北の知識力に驚くばかりです。 馬や駕篭に乗ることなく89日 約700里にも及ぶ長い旅路を、天保国絵図や美しい浮世絵と合わせて紹介します。
家にいながら天下を巡る江戸の旅を味わいましょう。
(著者による著作紹介文より)

温孔知新 素晴らしき謄写印刷の世界

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後藤 卓也 著
体裁:A4判 / 56貢
送料・梱包料 当社負担

 
【温孔知新 素晴らしき謄写印刷の世界】が山形市立図書館「小荷駄のみどり出版文化賞」を受賞しました!
 
 
↓無料試し読み

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P10-11-01

p20-21-01

 

 
 

人間技の素晴らしさ、凄さ

(一社)日本グラフィックサービス工業会 山形県支部長
山形謄写印刷資料館 館長        
中央印刷株式会社 代表取締役 後藤 卓也

 日頃は山形謄写印刷資料館の運営に対してご支援ご協力いただきありがとうございます。山形謄写印刷資料館は亡き父、後藤義樹が1996年2月に設立してから2021年2月で25年になります。
 この度設立25周年記念に、2016年1月より私が山形県支部長を務めています印刷組合の団体である一般社団法人日本グラフィックサービス工業会の機関誌「グラフィックサービス」に丁度25回にわたって連載した「温孔知新」を単行本化しました。

 一般社団法人日本グラフィックサービス工業会(以降はジャグラと略称で表記させていただきます。)は、全国の謄写印刷業者が集まってできた組合が最初のルーツです。2015年に守田輝夫現常務理事から組合のルーツである謄写印刷についての記事を来年1月から1年間連載してもらえないかという依頼がありました。日頃から書き溜めていた謄写印刷についての文章がいくつかありましたので、二つ返事で了解しました。ところがこれが大変な事で、一回あたり約2,500字の文章に掲載写真数点を載せるために資料を写真撮りしなければなりません。内容検討に一日、文章作成に一日、載せる資料を探すのに一日、資料の写真撮影やスキャナ撮りに一日、と最低丸四日はかかります。
 もちろん文章を書くのが本業でないし、日々の営業活動の傍ら掲載文を作らなければならなく、最初は以前書き溜めていた文章を基に資料作成するので比較的楽でしたが、次第次第に書き溜めていたネタが切れてきます。そして、原稿をジャグラ本部に送ると、すぐに次号の原稿催促が来るといったあんばいで、休日返上で原稿作成しました。原稿作成は大変な事ですが、一方楽しみでもあり、千人以上の人が見る以上出鱈目は書けないし、謄写印刷の様々な側面を勉強する機会を与えていただいた、いい機会だったかなと思っております。

 謄写印刷の事をいろいろと調べていると、一番に感じる事は、人間業の素晴らしさと凄さです。謄写印刷は基本的には制作者である人間が、緻密な作業で印刷原版を作り、印刷も一枚一枚手刷りであり、多色刷りの場合には一版一版刷り重ねていく訳です。その出来上がった印刷物は今の私達が見ても、真似できない美しさにあふれています。
 例えば鈴木藤吉が制作した昭和初期のチラシを見てみると、文字はフリーハンドなので一つ一つの字体が全部異なり、今のパソコンフォントの書体で作ったチラシでは、逆立ちしても遠く及ばない美しさにあふれています。

 連載記事のタイトル「温孔知新」は皆さんお分かりの通り「温故知新」と「孔版」とが合体したタイトルで、守田さんか、編集担当の藤尾泰一さんが考案したタイトルと記憶しておりますが、的を得たタイトルであったと思います。あくまでも人間が主役で、人間の、人間による、人間のためのコミュニケーションツールが印刷であるという基本はこれからも永遠に変わらないのではないかと思いますし、変わってほしくないと念願します。
 今年になってのコロナウィルス蔓延によって、「絆」に代表される「みんなで一緒に頑張る」という日本人の、世界にも誇れる素晴らしい国民性がだんだんと失われるのではないかとの危惧があります。改めてこれまで築き上げてきた先達方の偉業を振り返る事は、そんな日本人の国民性の回復のきっかけにならないだろうか。と念願いたします。
 それではこれから我々の先達たちが創る謄写印刷の素晴らしい世界を堪能下さい。

奥の細道を辿る絵巻

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長野亘(ながの・わたる) 著
体裁:巻物
送料・梱包料 当社負担

 

絵巻について

『月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人なり。……予もいずれの年よりか片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず……』
そんな書き出しで始まる芭蕉の代表作『奥の細道』の足跡を2年の歳月をかけて辿り、そのエッセンスを自ら筆をとった書と絵で綴った“絵巻”にまとめて出版したのが、元山形大学教授の長野亘氏です。
「私は旅が生き甲斐の上に、昔から芭蕉に興味を抱き続けてきたんですね。だから、いつか機会を見つけて奥の細道を自分で歩くことで、彼の詩心を味わってみたいと。そう常々思っていたんですが、大学を辞めてようやく自分の時間が持てるようになったので出かけたんです」

 

300里を2年がかりで

その行程は『行く春や鳥啼魚の目は泪』矢立て初めの句で知られる千住の地から栃木、福島、宮城、岩手、山形、秋田、新潟の各地を巡り、さらに石川、福井を抜けて『蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ』の結びの句で知られる岐阜の大垣に至る3000里に及ぶ長大な旅である。
「もっとも、私たちは列車などの交通機関を使っての現代的な旅だったし、日程も飛び飛びでしたから。その点は『前途3000里のおもひに胸ふさがりて、幻のちまたに離別の泪をそそぐ』と記している芭蕉の時代の、大変な不安と期待に揺れる旅とは比べ物にならないほど楽なものだったとは思うんですけどね」とはいえ、80歳の高齢を押し、時に人跡の跡絶えた山路に分け入る奥の細道行脚の旅は、途中、長野氏の2ヵ月の入院を要する大病を強いたらしい。おかげで、当初は1年の予定が、倍の2年以上にわたる旅になり、奥の細道の結びの地である岐阜の大垣に立ったのは平成4年の7月のことだったという。
長野氏は、行く先々で句碑を中心にスケッチを描き、芭蕉の時代に思いを馳せながら、その感想を書き留め、自身も句を詠んだ。

もともと長野氏は美術が専門で、俳句にも造詣が深い。大学では美術 理論を教える傍ら、アトリエで絵筆を握ってきたし、「野の会」の同人として“寂”の俳号を持つ人でもある。「シルクロードを中心に、外国も随分旅してきたし、私はどこへ行っても、必ず絵を描き、記録を書き留めて資料に残しておくんです。ただ、最近は年のせいか、さすがに外国の旅は辛くなりました。その意味で専門の絵と趣味の俳句、そして生き甲斐の旅と、この3つを同時に満足させる素晴しい道楽が、私にとっての奥の細道だったんですよ」 成果は長野氏の書いた『私の辿る奥の細道/句碑を訪ねて全行程』(共同出版)に詳しいが、その著書をベースに作られたのが今回の絵巻で、『夏草や兵どもが夢の跡』『五月雨をあつめて早し最上川』など、芭蕉が各地で詠んだ有名な俳句30点を長野氏の書と絵で紹介しながら、解説を加えたものだ。

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作者:長野 亘(ながの・わたる)
1909年福岡生まれ。山形大学教育学部教授・山形女子短期大学教授などを歴任。俳誌「野の会」「雪舟」同人。平成2年5月から2年の歳月をかけて芭蕉の『奥の細道』の足跡を訪ねて歩き、自らの書と水彩 画に託した絵巻「奥の細道を辿る」を出版。藍綬襃章受章

(取材・文/佐藤俊一 サライ 1994年第11号より)

 

奥の細道とは

俳聖松尾芭蕉の自筆本が、最近になり発見されて話題になりましたが、元禄2年(1689年)に深川芭蕉庵を、弟子の一人を連れて、東北・北陸を回り、歌枕を巡る旅が『奥の細道』といわれ、大垣から伊勢へ旅立つところで結びとなっていますが、150日間、距離は600里にも及んだという、とても長い長い旅で、いまだに、各所には句碑が残り芭蕉のなごりを感じることができます。

 

松尾芭蕉とは

寛永21年(1644年)に松尾儀左エ衛門の次男として誕生。18歳には藤堂藩侍大将の息子良忠に仕え、忠右衛門宗房と名乗る。 延宝2年(1674年)に江戸に赴き、4年後の延宝6年(1678年)には、俳諧宗匠になる。 40歳を迎えた芭蕉は、『野ざらし紀行』『鹿島紀行』『笈の小文』『更科紀行』等の旅を始め、元禄2年(1689年)45歳で芭蕉庵から杉風に移り、『奥の細道』を風雅の誠を極めるために、旅したと伝えられる。 元禄7年(1694年)に『かるみ』を説き、10月12日に死去する。享年51歳。 生涯をかけて自然を愛し、風雅の誠を極めようと旅を続けて、俳句の文学的価値をこの世に見い出した、歴史的人物である。
basyo
蕪村筆 芭蕉翁