おわりに

 今年になって戦前チラシの寄贈を受けた鈴木健二さんとの約束を果たすべく行った、山形県南陽市宮内でのガリ版展の開催(6月8日―19日)や各種団体との交流など精力的にガリ版文化の保存活動をおこなっております。昨年のような佐藤 慶さんからの寄贈や「鑑定団」への出演といった華やかさは無いのですが、今後は地道に活動を一生かけて続けたいと思っております。
ガリ版の魅力はやはり「手作業の暖かさ」です。過去の名人たちや、われわれの同業の先輩たちが作った印刷物は、いずれも人間業の素晴らしさにあふれており、これが何といっても最大の魅力になっています。そして、作品や機材からは情報化社会にある私たちがどこかに忘れてしまっている人間性というものを思い起こさせます。また、ガリ版文化を今も伝承している人たちは皆魅力的で、これらの人々と初対面であっても手紙・電話だけであってもガリ版を愛していることだけで、強い連帯感が生まれることが魅力の一つでもあります。
ただし、ガリ版の印刷物や機材類は身近にあったものだからなのか骨董的価値がないからか、その使命が終わるといとも簡単に廃棄されています。今までご覧いただいた読者の皆様に重ねて、身近にガリ版の機材や特に印刷物がありましたら、山形謄写印刷資料館にご寄贈お願い致します。また、ガリ版に関する思い出や拙稿に対するご意見等ありましたら遠慮なくお寄せいただければ幸いです。
長い間お読みいただきありがとうございました。お問い合わせ等は以下にお願いいたします。

山形市銅町1-1-5 中央印刷株式会社内
山形謄写印刷資料館 事務局長 後 藤 卓 也

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