20・ガリ版文化を守っている人々

ガリ版文化の保存運動を始めてから、いろいろな人との結びつきができました。ガリ版文化の伝承運動を行っている団体が、現在全国に当館を入れて4つあります。1つはジャーナリストの志村章子さんを中心とする「ガリ版ネットワーク」です。2つめは明石市の安藤信義さんを中心とする「ガリ版の灯を守る会」です。また、3つめとして滋賀県蒲生町に今年4月に「ガリ版伝承館」が誕生しています。これらの人々は、皆熱心で、魅力的な方々が多いです。それらの一つ一つを紹介いたしますと、

 1・志村章子さんを中心とする「ガリ版ネットワーク」
 6年にガリ版100年をきっかけにして生まれた首都圏のガリ版愛好者団体。ガリ版研究では他の追随を許さない研究者志村章子さんを中心として結成され、各地の不要になった資機材を収集し、今もガリ版印刷を愛好している人たちに譲るという地道で魅力的な活動を行っています。今年4月21日から26日まで、全国各地のガリ版資料を集め「ガリ版展98」を開催し、大盛況でした。

2・安藤信義さんと「ガリ版の灯を守る会」
 全国唯一人の「ガリ版専門店」アンドー・トーシャ店主、愛称「頑固親父・ガリ版一筋」安藤信義氏を灯台守に、放送作家三条杜夫氏を灯台長に5年に兵庫県明石市に結成されたガリ版文化の西日本での拠点。定期的に数十ページの質の高い会報を発行し、あわせて映画復刻台本やさまざまなガリ版印刷による本を作成し頒布を行っています。安藤さんの個人的魅力によるものが大きいのですが、会員も300人を超え、ますます意気盛んです。
 安藤さんとは何度も文通・電話を重ねているのですがまだお会いしたことがなく、一度お会いしたいと思っているのですが、なかなか叶わず残念なことです。

3・滋賀県蒲生町「ガリ版伝承館」
 今年4月に堀井新治郎親子がかつて住んでいた洋館を修復してオープンしました。現在のガリ版名人本間吉郎氏を講師にガリ版講座を定期的に行ったり、意欲的な活動を展開しております。今後の活動がより一層期待されます。
 その他にも松本市にある重要文化財「開知学校」の一室にガリ版のコーナーがあります。松本市にはかつて赤羽藤一郎氏を中心に「ガリ版伝承館」があり、質の高い作品が生み出されたのですが、赤羽氏の没後なくなってしまったのは残念なことです。また、最初にご紹介しました小針美男氏や、本間吉郎氏は現在もなお素晴らしい作品を発表されていますし、同郷山形市在住の冬澤未都彦氏や熊本県在住の佐藤勝英氏のの作品なども目をみはるものがあります。