19. 第2回文翔館展示会

 9年の展示会は8年の第1回に比べれば楽でした。というのは、前に述べたように8年の実績があることと、もう一つはテーマが最初から決まっていたことです。テーマは「俳優、佐藤 慶貧乏時代ガリ版との日々」とすることは6月から決めており、最後になってようやく方向が見えてきた第1回とは大違いです。ただ第1回と大きく違っていたことは1回目に借りた部屋が閉鎖中でとれず、第1回のほぼ1・5倍の部屋がとれたことです。部屋があまりに広すぎて佐藤 慶さんからいただいたものだけでは一杯にならないために、2回目は以下の3つを柱とすることにしました。
1・俳優、佐藤 慶 貧乏時代ガリ版との日々
2・みちのくの謄写印刷名人、鈴木藤吉(山形県の戦前チラシ)
3・草間京平を中心とした謄写美術印刷
 この3つを中心として、その他に機材類・玉田さんのTV台本・官公庁、学校発行物・教則本のコーナーを作ることにしました。ただ、佐藤さんからの寄贈物が初公開であり、マスコミ等の注目を集めると思い、広報は佐藤 慶さんの展示会を主に行いました。期間は10月3日搬入、4日から12日の8日間(5日は休館)とし、時間等は第1回と同じです。何としても佐藤 慶さん本人に来場していただきたくて、佐藤さんに電話したところ、今年のNHKの大河ドラマ「徳川慶喜」に出演することが決まっいて、その収録が昨年10月から始まり、週3日はそのために開けていなければならないのだそうです。ただし、3日のうち2日間で終了すれば残り1日は全くあいてしまうということで、10月の上旬が1日くらいあくかもしれない、1日NHKの収録があいたら是非山形に行きたい。ということで4日から12日にしました。ただし、NHKの収録が予想外に大変で結果的には佐藤 慶さん本人に来場いただけなくて、残念でした。会期終了後に写真とビデオテープをお送りいたしました。
 9年の展示会は、佐藤 慶さんの知名度と、中の土曜・休日の日にちが多いこともあって8年を大幅に上回る約2100人の入場者数がありました。会期中に「ドキュメンタリー映画祭」というイベントが行われていて、その関係者の方が随分と来られました。   
 会期中の来場者の中で最も印象的だったのは、最初にこの世界に入ったきっかけともなった「ガリ版文化を歩く」の著者志村章子さんです。志村さんとは何度も手紙のやりとりはしていましたが、直接お会いする機会に恵まれず、初対面です。それこそ長年思い続けていた恋人にでも逢うような楽しみがありました。志村さんは10月9日朝新幹線で来られ、すぐに会場入り。会場では1時間ほどご覧いただいてすぐに帰られました。今までの場合、私か父が来客に説明しながら案内するのですが、流石に日本一の研究者だけあって逆に1時間あまり説明を受け、今までの認識の間違い等を指摘していただいたりしました。今年4月に逆に志村さんが主催した展示会「ガリ版展98」には、この時にわざわざ山形に来ていただいたお礼の意味もあり東京に行って来ました。