山形県の戦前チラシ
みちのくの謄写印刷名人・鈴木藤吉
山形県における代表的な謄写印刷名人として鈴木藤吉(1908-84、冬吉・冬橘というペンネームを用いたこともある。)をあげなかればなりません。鈴木藤吉は現南陽市に生まれ、昭和初期に南陽市宮内(当時は宮内町)で「北陽謄写堂」を起こし、さまざまなガリ版印刷物を制作しました。また同時に、宮川 良の主宰する「日本謄写芸術院」に、昭和5年から13年くらいまで主要同人・東北の主要代理店として在籍し、高度な謄写美術印刷を遺しました。戦後は文具商に転じ、謄写印刷からは離れたのですが、後年、「趣味の謄写印刷」をはじめとする教則本を作ったり、佐藤佐太郎門下として3冊の歌集を出しています。
鈴木藤吉が制作したのべ1000枚にわたる戦前のチラシや、日本謄写芸術院に作品は、次男健二によって大切に保存され、山形謄写印刷資料館に寄贈され、この度約60年ぶりに公開されました。